27. OLとトムクルーズ

 

OLは腰のあたりで小さく手を振りました。

 

「ごめん。待った?どこ行く!?」

 

「ごめん。待った?」と言う割には返答の時間を全く与えず、内心「30分は待ったな~。」と思いつつも「いえ、どこ行きましょうか!」と満面の笑みで答えました。

 

JR博多駅

午前7時30分

OLは濃紺のスキニーパンツに真っ白なブラウス。

ほんのり夏の香りがする、澄んだ青空でした。

多分、32くらい。

香水じゃなくて柔軟剤タイプ。

 

私とOLの出会いはtwitter。「花子とアン」を通して知り合いました。

所謂朝ドラオタクである彼女は、原作や関連本を読むのは勿論、主な出演者のリサーチ、NHKの特集雑誌のチェックなど朝ドラを楽しむことに関しては努力を惜しみません。

そんな「趣味に深く没頭できる」彼女が「お話しましょう!」と話を持ちかけてくれたので、その熱を直に感じてみたいと思ったわけです。

集合時間が7時と異常に早いことが気がかりでしたが、どこか行きたい場所があるのだろうと、不安と期待を胸に博多に向かいました。

 

待つこと30分。

「もしかしてドタキャン。。。」なんてことも考えていたその時、小走りでやってきた長身のOL。

集合時間7時30分だったっけなと思わせるほど悪気のない笑顔に「自分は小さい男だな」とさえ感じてしまいました。(因みに私は「ゆったりした男」ですので1,2時間の遅刻では怒りません。)

 

「どこ行く!?」と目を輝かせるOLに「(どこかお店空いてるかしら。そもそもどこに行こうと思ってこの時間に。)スタバ行きましょ!多分開いてると思います!」と提案すると、彼女は「うんそうしよう!」と意気揚揚と歩き出しました。

 

コーヒーを頼み席に着くと彼女はそこそこ大きな声で「ふふふ。」と微笑み、一冊のノートを取り出しました。

表紙には「花子とアン」と表記されています。

なんと、彼女は「朝ドラノート」なるものを作成し、その日の放送分の感想や出演者の衣装チェック、更には改善点まで事細かに記しているのです。

 

なんという熱意!!

私は気づけばOLの世界に入り込んでおり、彼女の分析にうっとり。

「『カーネーション』(今再放送でやってる)と並べて見ると感じるんだけど、『花子とアン』は今昭和何年の話してるのか分かんないからそこがちょっとウズウズするんだよね。ほら、戦争の流れとか読みづらいじゃん?」

熱弁を振るうOL、素敵。

私も一緒に流れ読みたい。その流れ読みたい。

気づけば11時。コーヒー4杯目。ノート2冊目。

お姉さん満足げ。

 

場所を移しランチ。

お肉を頬張る。

OLは「食べる前に写真撮る男の人はちょっとね~」と言いました。

僕は本当はたまに撮りますが「気に入られたいな~」という下心が物凄くあったので、「そうですよね~。」と言いました。

 

ランチ2000円したんですけどOL奢ってくれました。

なんと!全然払うつもりでしたのになんと!

「ごめんね今日集合遅れたからね。」

思わず「待った甲斐あった~!!」

とこぼしちゃった僕にOLは優しい笑みを投げかけてくれました。

ふふ。

 

そのあと色々回ったんですけど書くのがちょっと面倒になってきたのでここら辺で止めます。

OLとはいい友達になれそうです。

 

 

今日はトムクルーズ見てきました。

こういうのは始発で待機するのが一番本番を楽しめるんだろうな~。

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真ん中のネイビーがトムです。

流石に興奮して、隣のはげた60くらいのおじさんとめちゃめちゃ手振りました。

前の18くらいの女の子が「トムクルーズって誰なの?」って言ってたんですけど、18年間「トムクルーズ」という単語を回避して生きることってできるんだと驚きました。

でも30秒後、女の子は電話で

 

「おかあさーん!!今ユイ何しようと思う?トムクルーズ見よーん!!!!」

 

と言っていました。

女の子は凄く嬉しそうでした。

トムクルーズは凄いな。