23. ティッシュ配りの不良

梅雨入り。

土砂降りの中、重いキャリーバッグを引いて新宿を歩く。

少しでも早く屋内に入ろうと足を速める。

 

瞬間、「ぐにゃり」という感覚。

 

キャリーバッグが誰かの足を轢いた。

悪いな~と思いながらもなんとなく無視して更に足を速めた。

 

「ちょっと」

 

足を止めた。

悪いな~と思いながらもなんとなく無視した2秒前の自分にガッカリした。

 

振り返る。

 

そこには右手にポケットティッシュの束を持った青年が立っていた。

太めのデニム、(雨なのに)タンクトップ、そして不必要な筋肉。

不良だ。

 

ティッシュ配りの不良がそこには立っていた。

不良なので傘はさしてない。

傘をさしてないのでずぶ濡れだ。

ずぶ濡れのくせに不細工だ。

 

 

「はい!?(~いきなりなんですか!?って気持ちを添えて~)」

 

「いや、足。」

 

「すみません。」

 

「気づいてただろ」

 

「・・・感触はありましたね(~素直な気持ちで~)」

 

「いや、それ俺の足」

 

「ですね。」

 

「ですねじゃねーよ。」

 

「すみませんでした。急いでるんで(~濡れながら人に絡んでいるのがかっこいいと思ってる危ないやつだ。早く逃げよう。という気持ちで~)」

 

「おい!おい!」

 

「はい。(~めちゃめちゃ大きい声出すやん、目立ちたいだけやん勘弁してよ~って気持ちで~)」

 

「これくらいもらってけや!!!!」

 

「あ、はい。」

 

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マッチ売りの少女はマッチを擦り、幻影を見る。

流れ星を見ておばあちゃんの言葉を思い出す。

「流れ星は誰かの命が消えようとしているってことなんだよ。」

少女はマッチを擦る。

炎の中におばあちゃんの幻影を見る。

おばあちゃんが消えてしまうと思った少女は急いで全てのマッチを擦る。

おばあちゃんは明るい大きな光に包まれる。

そして少女を優しく抱きしめ、天国へと昇った。

少女は優しく微笑みながら息を引き取った。

 

 

不良も多分あの後やっぱり寒いな~ってなって。

手持ちのティッシュで体中拭いて。

ティッシュだし幻影とかそんなんは別にないけど。

優しく微笑みながら37.5℃くらい出てるといいな~。