1.オロナミンC
おやつが無い日は祖父母の家まで行き、「何か食べないと宿題が出来そうにない。」とおやつをねだった。祖母はいつもスーパーカップとオロナミンCをくれた。
— とーば (@ANNE_0828) 2013, 11月 3
昨日最寄りのセブンイレブンに行くとオロナミンCが置いてあったので、懐かしいなと思い一本買ってみた。
オロナミンCは小学校低学年の頃よく飲んでいた思い出深い飲み物だ。
勉強が嫌いだった私は、担任の先生が毎日出す宿題がとにかく嫌でいつも憂鬱な想いで帰っていた。
そんな憂鬱な気分を晴らしてくれるのが母が用意してくれていたおやつだった。
母はお菓子作りが好きで、よくおやつを作ってくれていた。
毎日それだけが楽しみで、憂鬱な宿題もおやつを食べながら取り組めばさほど苦ではなかった。
いつも手の込んだお菓子というわけではなかったが、私はバナナ一本でも十分で、とにかく「おやつ」という存在が無ければ何も頑張れない、今思うとどうしようもない小学生だった。
しかし母も忙しく、たまにテーブルの上に「おやつは冷蔵庫にあるよ」の紙が無い日があった。
そんな日はひたすらに落ち込み、しばらく考えた後重い腰をあげ、すぐ近くに住んでいる祖母を訪ねた。
酒屋を営んでいる祖父母の家は、私にとってはおやつの宝庫であった。
この世の終りを見たかのような顔をして「おやつがないと宿題ができない」とねだる私に、祖母はいつも笑顔でスーパーカップとオロナミンCをくれた。
祖母の家で食べるおやつは格別で、宿題もせずに祖母とテレビを見ながら数時間居座ったあとは「そろそろ晩ご飯が出来上がる頃だ」とまた別の楽しみを胸に自宅に帰った。
そんな日は決まって母に宿題をやっていないことを咎められるのだが、私に言わせてみればおやつを用意していない母にも非があるし、何よりそれ以上に祖母の家で過ごす時間は幸せだった。
小学校高学年になると祖母の家でおやつを食べる回数も減り、部活に忙しい中学時代には「おやつ」なんて概念さえ薄れつつあった。
久しぶりに飲んだオロナミンCはあの時の小さな幸せを思い出させてくれた。