18. 帰省。規制。

久喜の家を引き払って実家に帰ってきた。

先ほど洗濯物を畳んでいると1cm程のカメムシが手の甲に乗り、「あぁ。久しぶりだなカメムシなんて。」と思わぬところで実家を感じた。

カメムシも冬を越して活動を始めたのかしら。

 

先日オーディトリウム渋谷にて夜通しでAVを見てきた。

と言うのも、『劇場版 テレクラキャノンボール2013 』に出演しているカンパニー松尾バクシーシ山下をはじめとする6監督の渾身の作品を上映するということで、この機会を逃すと一生見れない作品があるのではと思ったからだ。

現にバクシーシ山下の『死ぬほどセックスしてみたかった。』は発売禁止になっていて、こういう機会でもない限り人の目に触れることは無いだろうし、タートル今田(今田哲史)の『熊笹の遺言』(これはAVじゃない)も今や新たに購入するのは難しい。

そういう意味でもこのイベントには是が非でも参加しなければと思っていた。

予想を遥かに上回る作品ばかりだった。

 

以下監督による作品紹介

 

1.【初上映】『僕と企画女優の生きる道』

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2006年/50分/AV
出演:京本かえで、監督:ビーバップみのる

解説:「ヒモをしてきた男」と「男をヒモにしやすい女」が1ヶ月くらい一緒に住んだ記録です。

 

2.【未発売】『死ぬほどセックスしてみたかった。』

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1994年/60分/AV
出演:大崎ひとみ、監督:バクシーシ山下

解説:20歳で交通事故死したAV女優の足取り追ったドキュメンタリー。ラストシーンが問題となり発売禁止になった20年前のAVです。

 

3.『熊笹の遺言』

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2002年/60分/一般作/山形国際ドキュメンタリー映画祭正式出品作品
監督:今田哲史

解説:この映画は僕が映画学校の卒業制作で制作したハンセン病療養所のドキュメンタリー映画です。僕の映像制作の原点です。真面目かっ!との突っ込みはご勘弁を。

 

4.【初上映】『チェーン・ラブ』

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2013年/40分/AV
出演:倖田梨紗、監督:嵐山みちる

解説:元トップAV女優「倖田梨紗」6年ぶりの復活作。元交際相手であるAV男優*しみけんとの再会、それぞれのインタビューとセックスを通して浮かび上がる6年越しの真実と「本当はこうありたかった」2人。

 

5.【初上映】『レイプ』

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2014年/40分/AV
出演:京香、監督:梁井一

解説:エロくて抜けるAVを目指したが、お寒いSEXしか撮影出来なかった。そこで、SEXを嫌がる女に嫌がる演技を強要させる「やらせレイプ」を仕掛けた。

 

6. 【初上映】『TANGO 地球の裏側で愛を踊る』

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2012年/50分/AV
出演:真奈美、監督:カンパニー松尾

解説:TANGOを踊る女優と映画『ブエノスアイレス』が好きな監督がその憧れの地アルゼンチンを旅したとても個人的なAVです。

 

 

どれも素晴らしかったが特に印象に残ったのがバクシーシ山下の『死ぬほどセックスしてみたかった。』

20歳にして交通事故で亡くなったAV女優、大崎ひとみさんに興味を持った山下監督が独特のアプローチで彼女の生涯に迫る。

詳細は書かないが、その過激さゆえにビデ倫(審査団体)に発売を禁止された作品だ。

上映後、山下監督は笑いながらこう述べた。

「90年代じゃないですか。目の前にあるものが変だったんですよね。AVの世界が。その目の前にある変なものを記録しておこう、90年代のその時代を撮るみたいな。そんな気概は無いですけどね、回してるだけですから。で、撮ってたらあのビデオ自体が90年代っぽくて自分自身がそうだったっていうオチが付きましたね~。」

 

監督の言う「90年代らしさ」が一体どういうものであるかは分からないが、この作品がその「らしさ」であるならば本当に面白い時代だったんだろうなと羨ましく思う。

 

最後に松尾監督が「AVを通して、セックスを利用して、どこまで監督個人であったりとか女の子そのものであったりとか、何かもう一つ、もっと深いものを撮ろうみたいな。そんな世界があるということを皆さんに知ってもらえたと思います。アダルトビデオってのも色々あるんだなってのを分かってもらえればね。」と仰った。

 

大袈裟じゃなく、どの作品も一人の人間の核心に迫っていて、下手なテレビのドキュメンタリーや映画よりよほど生々しかった。

監督の言葉は的確で、セックスを見せたいのではなく、日常生活では心の奥底に潜ませている人間の醜さだったり弱さだったりをセックスを利用して浮き彫りにしている。

追い詰められた人間が見せる狂気に若干の恐怖を覚えつつも、自分ももしかしたら、、、とこれまた小さな恐怖を感じた一晩だった。

 

5/4に三浦大輔ゲストのバクシーシ山下のイベントがあるらしい。

なんとポツドールの「夢の城」は山下監督の作品に影響を受けたのだとか。

こんなにも早く東京に戻りたくなるとは(笑)

2回目のイベントには行きたいな~。

 

では。

 

『テレクラキャノンボール2013』


『テレクラキャノンボール2013』 特報 youtube版 - YouTube