15. じーもーとにー♪ かーえーろおー♪

 

 

ホットミルクをすすりながら夜な夜な一人考える。

中学生だったあの頃とは違い選択肢は増えている。

そして目の前に迫っている。

一度心を決めて掴んだ筈なのに、数か月前私は急に怖くなり手を離した。

その先に見えた未来が自分の理想とはあまりにかけ離れていて、結局逃げ出してしまった。

選択肢は増えた。

だけどその分選ぶ難しさや苦しさも知った。

 

上手くいかないもんだ。

 

だけどどの道に進もうとつまらない大人にはならない。

絶対に面白い人間でいたい。

人間的に充実してるとかそんな曖昧なものではなくね。

それはまた追々。

 

今日も渋谷駅には沢山の若者がいた。

私もその一人。

東京を形成してる一人なんだとぼんやり考えているとスクランブル交差点の信号が青に変わった。

大勢の人が一斉に動き出す。

流れに遅れまいと私も歩く。

しばらく歩くと原宿に着く。

少し歩いただけなのに人々の様相がまるで違う。

若者はさらに増え、最先端のファッションを身に纏っている。

もうさっきとは違う街だ。

 

急に田舎が恋しくなる。

 

駅前の雑多な人ごみに豊かな自然を感じる。

忙しい人の流れに友と歩いた細いあぜ道を感じる。

原宿のお洒落な若者に暖かい田舎の人々を感じる。

 

小さな田舎で私が思い描いていた東京は予想以上に楽しい。

 

 私を魅了する東京は地元への愛まで育んでくれた。

 

 
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