6.アレルギー
最近、大学の生協でお菓子が安く売られている。
一週間前に「一日500円以上使わない宣言」をしてからは間食を控えていたのだが、真っ白な小さなテーブルにこじんまりと陳列されたお菓子が(そして赤文字の大きな値札が)私を呼んでいる気がしてついつい買ってしまった。
グミなのに果汁100%!
凄い、どういう事なんだと下の注意書きを見てみると苦しい、これは苦しい。
よく見ると「100%」じゃなくてただの「100」だ。
そして裏を見てさらにびっくり。
アレルギー物質に「りんご」、シャルドネ果汁"100"なのに。
上をよく見ると(ペクチン:りんご由来)とある。
調べてみると、ゲル化剤として使用されている"ペクチン"はりんごの芯から抽出されるらしい。
果物の王様りんご(私はそう信じている)、流石無駄がない。
そして"りんごアレルギー"にさらに驚く。
こんなに人間いたらそんな人がいてもおかしくないのかもしれないと思いながらもシャルドネ100を口に入れた。
幼い頃、私は卵白アレルギーを持っていた。
重度ではなかったが、一日に食べていい卵は一個と決められていた。
母は毎朝冷蔵庫に貼っている給食のメニューを確認して、卵を使わない献立だと分かると「お!朝は目玉焼きにしようか!」と目玉焼きを焼いてくれた。
それだけで機嫌が良かった。
ハムじゃなくてベーコンのときはさらに機嫌が良かった。
しかし、そんな気を遣ってくれている母をよそに、私は影でこそこそと卵白を摂取していた。
私はマシュマロが大好きなのだ。
週に一度、学校帰りに近くのスーパーに寄りマシュマロを買っては口いっぱいに詰めてニヤニヤしながら家へと歩いた。
卵白を過剰に摂取すると耳の下が切れ血が出る。
痛くも痒くもないのだが(だから自分でも気づかなかったりするのだが)、母にはすぐにバレてよく叱られた。
馬鹿な私はまた翌週、マシュマロを頬張りながら帰る。
みんなで食事をするときに「私○○アレルギーなんだよね」と告白する人の顔は何故か陽気に見える。
少なくとも本気でそのアレルギーを恨んでいる人を私は見たことがない。
最近はその言葉の裏に潜む、幼い頃の素敵なアレルギー話を想像する。
Amazonでセールをやっていたので購入。
また帝国劇場で見たいな。